園芸用品トップ>> 繁盛店ウォッチング 第8回


繁盛店ウォッチング

「いつかは行きたい園芸店」を目指して
ホームセンターとも共存

 「グリーンプラザ山長」 (奈良県)


 

「グリーンプラザ山長」 (奈良県)
 今回は、昨年のリッチェル見本鉢コンテストのブローズ部門で優秀賞にも輝いた「グリーンプラザ山長」の長底(ながそこ)店長を訪ねました。
駐車スペース8台分、約300坪と決して大きくないお店には、植物や園芸関連用品が所狭しと並び、隅々まで気くばりがよく行き届いた印象です。手作り感いっぱいの店のつくりには、暖かい雰囲気が漂います。

店長は、水商売、サラリーマンを経てこの業界に入った異色な経歴の持ち主。最初は、アサガオ、ヒマワリ、チューリップ、ヒヤシンスの4種類の植物しか知らなかったといいますが、ホームセンターの出店が早かったこのエリアにしっかり園芸店として根づいています。成功に至るまでには、奔放ながらも地道な独自の活動がありました。苦労をしても、それを感じさせない肩の力が抜けた語り口調がとても魅力的でした。


 ガーデニングブーム以前に寄せ植え提案。生き残りをかけて必死やった。
 ホームセンターの出店ラッシュだった約15年前、商品に安値をつけても全く売れなかったといいます。そこで徹底的に値段のわかりにくいものを高く売った時期もあったとか。「けど、それじゃあ長続きせんやろと思ったから、どう植物を届けるかを考えるようになったんや」。「グリーンプラザ山長」 (奈良県)

悩んでいた時期には他業界の様々な専門店を片っ端から回っていろいろな人と会話をしました。「値段は高いけどうちのは鮮度がちがうねん。スーパーみたいに手間をかけられんから、一匹をどう買ってもらうかを考えてるんや」という魚屋のことばに「これや!」とひらめいたのが寄せ植え。
ホームセンターには真似のできない配達サービスも組み合わせることで、その後リピートをぐんと増やしました。

 花が好きな人はあかん!僕は好きやないからいいんや。
 「山長さんはなんで売れるの?と聞かれたら、花が好きやないからと言うてる」と笑いながら店長。「限られた売り場を効率よく使わないと。花は店で育てたらもったいない。いい時にさっとお金に変えるねん(笑)好きやったら育てて眺めたくなるやろ?花は鮮度が大事やけど、仕入れの鮮度と売る時の鮮度はちがう」。
なるほど店先に並ぶ植物は、すぐに、そして長く楽しめるものばかり。「育てれば豪華になるけどそれは鮮度じゃないよね。育てるのはお客さんの仕事やからな」


 プロも含めて、だれもがほしい商品を作らなあかん!
 いい苗、変わった苗が欲しいと始めたこだわりの農園は、今では市場やホームセンターに納品するまでに。
生産者の友達がホームセンターに納品するのを見て感じた「もっとこうだったらええんちゃう?」を実践。山長のロゴマーク入りのラベル、管理しやすいバーコードを付けて販売。この取り組みがホームセンターの目にとまりました。「限界の値段を出して欲しいと言われたけど、ムリって言うたら折れてくれはった。これを山長マークの付いたトラックで納品すんねん」とにっこり。納品先ではお客様と鉢合わせすることもあり「道理でここの苗が安くて品質がいいワケだ」と納得してもらえるそう。「ホームセンターのバイヤーもうれしいし、うちも大企業と取引できる力があることで信頼してもらえる。お互いにとっていいとこどりやと思う」と店長。ホームセンター、専門店という枠を越えて、いい形での共存がここにはありました。
  「グリーンプラザ山長」 (奈良県) 「グリーンプラザ山長」 (奈良県)
  花がきれいに咲き、植えた瞬間から目を楽しませてくれる花苗。山長のロゴマークが入ったラベルはブランド苗の風格を感じさせる。


 任せなあかん!
 店内では講習会も開いていますが、店長が担当するのは最初と最後の挨拶のみ。
山長では、企画から募集、器の買い付け、当日の運営までをアルバイトやパートのスタッフがすべてひとりで担当します。
「依頼されて外部に出向く講習会は、店長に…と期待されているやろうから僕が行くけど、店ではスタッフの顔を売った方がいいんよ。次に来たお客さんがそのスタッフと会話できるからな。スタッフもうれしいし、僕もラクできる(笑)」とさらり。アップダウンの多いこの町で好評な配達も、「今はスタッフがやってくれてる。僕は大阪とか遠方への配達だけやね。ただ、暇ができるとみんなが一生懸命にやってるのに遊んでられんやろ?その時間で新しいことを見たり、考えたりするんやけど、これが大事やと思う。だからラクすることを考えないといけないんや」。
役割を明確にすることで、自らは新しいことに挑戦できる余力を作り、スタッフにはやりがいのある環境を整える。これが山長を育ててきた理由かもしれません。


 専門店は価格勝負では勝てへん。売るならいいものを。
 「鉢は100円均一ショップでも売ってる。300円で売っても売れへんから200円で・・・という話も聞くけど、僕はそれなら500円で売りたい。だって100円でも5コは買わないでしょ。どっちも1個なら500円の方がいいもん。いいものを売らなきゃ。値段を見て買うお客さんはいらんなあ」。いつかは行きたい園芸店を目指す山長には、この信念が貫かれています。
グリーンプラザ山長【奈良県】長底章夫さんの作品 一方で店長は「ホームセンターはすごい。学ぶことも多い。粗利の計算、お客さんの管理、オンシーズンとオフシーズンのメリハリ、買い付け方法なんかは、とても真似できない」といいます。かつてその存在に苦しめられたホームセンターは、今では役割をシェアし合いながら、学べる存在ともなっているようです。 「人のよいところは盗む。でも人とはちがったことをやらなきゃ」という店長は、謙虚な姿勢でいつも多方面にアンテナを張っています。そして、豊富なアイディアで次々に新しいことをやり遂げてきました。
改めてコンテストでの受賞に納得でした。


コンテスト受賞作品



 
グリーンプラザ山長 長底章夫店長
グリーンプラザ山長 長底章夫店長

気さくな人柄で話していて楽しい店長さん。
 

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